Dengeki online Interview with Yuji Naka and Takashi Iizukia

Interview Data:

  • Interview Date: 10 June 2003
  • Interview Topics: Sonic Heroes, E3, Sonic X
  • Interview Source: Dengeki Online external.png
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『ソニック』シリーズ集大成となる最新作『ソニック ヒーローズ』がこの冬ついに登場!しかもPS2、GC、Xboxの3ハードでのリリース。ちょっと気が早いけど、これは開発者インタビューを決行せねば!と思ったら、ディレクターの飯塚さんは遠くアメリカにいらっしゃいました。というわけで我々電撃取材班は、E3の会場で飯塚さんとの接触に成功!途中からは中裕司さんも登場し、ゲーム業界全体の在り方にまで及ぶディープなインタビューとなりました。まずは一読を!

■『ソニックアドベンチャー3』じゃない、
『ソニックヒーローズ』という新しいゲームなんです
——:飯塚さんは現在「SONIC TEAM USA」に所属してアメリカでお仕事されているということで。今回はここロサンゼルスのE3会場でインタビューさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
飯塚隆氏(以下敬称略): こちらこそよろしくお願いします。
——:さて、さっそくですが『ソニック ヒーローズ』! 会場の試遊台でプレイさせていただきましたが、3人1組でのアクションというのが新鮮ですね。
飯塚:はい、『ソニックアドベンチャー2』の開発が終わった時点で、次の『ソニック』はどうあるべきかというのを、チームのなかで何度も検討しました。やっぱりただの続編ではなく、新たなアクションゲームのスタイルを生み出したいという欲望がありまして。今回は完全に新世代のハード=PS2・GC・Xboxでの開発なので、今までのハードでは不可能だった、多人数のキャラクターを同時に動かすこともできる。それなら3人1組っていうのがおもしろいんじゃないかと。
——:3人1組ならではの魅力っていうのは?
飯塚:『ソニック』というとやっぱりスピードっていうイメージだと思うんです。でも今回はそれに加えて、パワーのナックルズ、空を飛べるテイルス、この3人が一度に協力してその特徴を使いこなせば、もっといいアクションゲームになるんじゃないかと思いまして。そこが原点ですね。
——:パッと見の印象では、『ソニックアドベンチャー』のソニックステージの進化形のような気がしました。
飯塚:そうですね。でも今回は、『ソニックアドベンチャー』のシリーズという位置付けじゃないんですよ。ソニック・ザ・ヘッジホックというキャラクターをどうゲームにするかというところで、『ソニックアドベンチャー』もあり、今回の『ソニックヒーローズ』があるという位置付けなので。
——:タイトルが『ソニックアドベンチャー3』じゃないのもそういう意味合いなんでしょうか。
飯塚:そうですね、チームアクションというコンセプトを取り入れた、『ソニックヒーローズ』という新しいゲームなんです。3人のキャラクターを切り替えるんじゃなくて、あくまでも、3人を使ったフォーメーションをどうするかというのを重要視しています。それによって、ユーザーのプレイスタイルをユーザー自身が作り出すことができる。例えば、敵がいっぱいいるところを、フライフォーメーションで飛び越してもいいし、パワーフォーメーションで一網打尽にしてもいいし、スピードフォーメーションで無視して走り抜けてもいい。それぞれ、ユーザーがどう克服するのかっていうのが、ユーザーのプレイスタイルによって決まってくるわけです。
——:ステージ構成の幅も広がっていますね。
飯塚:はい。いままでスピードフォーメーションで走り抜けていたところを、フライフォーメーションでちょっと飛んでみたら、その上にこんなルートがあったとか、いままで普通にジャンプして飛び越してた岩をパワーフォーメーションで壊してみたら、実はこんなところに隠しアイテムが、とかそういうおもしろさを狙っています。それぞれのフォーメーションをユーザーがいつ使うかによってみつかる「新たな発見」がフィールド内にあふれているんですよ。
——:フォーメーションによる分岐みたいなものもあるんですか。
飯塚:そうですね、チームフォーメーションを取り入れたギミックもいくつか用意していますので。例えば、フィールド上にキャノンが置いてあったりするんですけど、そこにパワーフォーメーションで入れば物を壊す大砲になる、スピードフォーメーションで入れば遠くまで速く飛ばしてくれる移動手段になる、フライフォーメーションで入ると高くまで打ち上げてくれる。そういう風にフォーメーションによってギミックの作動の仕方が違うという要素もありますね。リプレイバリューというか、それで進行ルートが変わったりというところが楽しめると思います。

■3フォーメーション×4チーム=12パターン
——:で、今回はそういう感じで、1つのチームだけで3つのフォーメーションがあるのに、さらにそのチームが4つ登場するんですよね。かなり懐かしいキャラクターも出てきていますが…。
飯塚:懐かしいと思っていただけるとうれしいんですけど(笑)。『ソニックヒーローズ』というタイトルが示すとおり、12年間の『ソニック』の歴史を作ったキャラクターたちを一堂に集結させようという意図がありまして。主人公のチームソニックだけでなくて、シャドウ・ルージュ・オメガの3人によるチームダーク、エミー・クリーム・ビッグの3人によるチームローズ。あと、チームカオティクスという、昔の32Xから再登場のキャラもいまして…。
——:いま知ってる人少ないかもしれないですよね。
飯塚:チームカオティクスをなぜ今ここで、と思われるかもしれないですけど、あのキャラクターたちは、ソニックたちとはあからさまに形の違う、特徴的なキャラクターなので、チームとしてすごくおもしろいんですよ。そのあたりもユーザーさんに楽しんでもらえるんじゃないかと思ってます。
——:見た目もにぎやかになっていいと思います。
飯塚:ありがとうございます。今回の試遊台では入っていないんですけど、今後は仲間たちがプレイヤーに話しかけてくるという要素も入れようと思ってまして。例えばソニックがリーダーのスピードフォーメーションの時に、テイルス、ナックルズというのは、自分の後ろにいる仲間たちですよね、その仲間たちが自分に話しかけてくる。「ソニック、ここはこうしたほうがいいんじゃない?」とか、「ソニックあれを見てみろ!」みたいな感じで。
——:攻略のヒントをくれるということですか。
飯塚: そうですね、ヒントを教えてくれると同時に、ゲームの雰囲気を盛り上げてくれるというイメージです。
——:チームで冒険している感じが強くなりますね。
飯塚:はい。で、その会話にも、4チーム分のパターンがあるんです。それに単にキャラクターが違うだけじゃなくて、4つのチームがそれぞれのシナリオを用意しています。それぞれちゃんとオープニングとエンディングがあって、お話として完結するようになってるんです。
——:じゃあプレイヤーは4回楽しめるわけですか。
飯塚: そうですね、でも同じ事を4回やらされるわけじゃないですよ(笑)。4つのチームごとにアクションスタイルをちょっと変えて、4つのチームそれぞれが別の雰囲気でアクションステージを楽しめるというふうにしています。

■ソニックチームとして初のPS2タイトル
——:今回PS2、GC、Xboxと3つのハードで発売されるわけですよね。
飯塚:そうです。3ハード対応というのは開発にとっては非常に大変な決断なんですけど、ソニックチームとして、この2003年〜2004年をソニックイヤーにしようと。ソニックというキャラクターを多方面から盛り上げようじゃないかというプロジェクトがありまして、その一環として『ソニックアドベンチャーDX』があり、『ソニックバトル』があり、『ソニックX』というアニメーションがあり、という形になってます。で、『ソニックヒーローズ』はどうあるべきかと考えたときに、ハードを限定せずに、『ソニックヒーローズ』というソフトを誰にでも提供したいというのがソニックチームの結論です。
——:でも3機種ともバッチリですよね。会場でぜんぶプレイして比べたんですけど…。
飯塚: 比べないでください(笑)。
——:この短期間で3機種のソフトを開発するというのはたいへんだったんじゃないですか。
飯塚: そうですね、ソニックチームとしてはPS2で開発をするのは初めてですから。えらい苦労してますよ。でも、開発泣かせですけど、それがユーザーのためでもあり、ソニックのためでもあると思っています。

(ここで中裕司さんが登場)

——:アニメ番組「ソニックX」もすでに放送中ですけど。
中裕司氏(以下敬称略): はい。いままで以上にソニックをプッシュしていくということで。アメリカで9月から放送されることが決定しています。ヨーロッパでの放送も近々決定するかと思います。
——:ソニックチームとしてはシナリオ監修という形で参加されてるんですよね。
飯塚: 毎週シナリオをチェックしてますからね。
中: 監修というのはものすごく簡単に思えますけど、ものすごくたいへんなんですよ。
飯塚: ちょっとシナリオを見て「はいオッケー」というレベルじゃなくて、本当に深く、言葉尻ひとつひとつまでちゃんと監修していますので。
中: だけどそれがやっぱりキャラクターを大切にするということだと思うんですよ。いままでソニックのゲームをプレイしたことのない子供たちにも、ソニックというキャラクターを好きになってもらいたいんです。
——:ところで中さんと飯塚さん、日本とアメリカでの連絡はいつもどのようにされてるんですか。
中: メールと電話とネットですね。
飯塚: もう最近は通信網もこれだけ発達しているので、だいぶ過不足なくできますよ。データのやりとりも早いですし。
——:じゃあ開発として困ることはそんなにないですか。
中: 若干時差があるんですけど、開発チームは昼夜あんまり関係ないので(笑)。
——:今回のE3では『ジャイアントエッグ 〜ビリー・ハッチャーの大冒険〜』も出展されてますけど、こちらのお話もうかがっていいですか。
中: はい、『ビリーハッチャー』は試遊台を出してるんですけど、会場で触ってくれた人の反応がすごくよくてうれしいんですよ。
——:最初"タマゴを転がす"っていうイメージだったんですけど、実際はもっと押してく感じですよね。転がしてるだけで楽しい。
中: 「オラオラオラオラオラ」って転がす、そういう感触を出せればいいなと思って。
——:卵だから形がちょっとイビツで、うまく転がってくれない。それが楽しいです。
中:それがゲームの中での感覚で一番欲しかったところなんですよね。操作感にはこだわったし、そこは自信があります。海外のメディアの人にも口コミで広がっていって、今回のE3では初日より2日目、3日目になるほど人が増えていってますから(笑)。

■ゲーム業界は続編ばっかりでつまらない
——:今回のE3はどうですか。
中:うーん、出展されているゲームをいろいろ見てみたんですけど、続編ばっかりなんですよね。『2』とか『3』とかばっかりで、ぼくは本当そういうのウンザリなんですよ。海外のメディアの人に取材を受けたりしたんですけど、『ソニックヒーローズ』も「なんで『ソニックアドベンチャー3』になんでしないんだ?」って言われたり。でもユーザーの人も『2』『3』ばっかりで、それに飽き出しているんじゃないかとぼくらは思うんですよ。やっぱりゲームっていうのは、遊びをどう進化させていくのかが大切だし、ぼくらはどんどん新しいゲームを生み出していかないといけない。だから『PSO』も今回カードゲームというぜんぜん違う切り口で作って、そういう新鮮な驚きを出していってるわけだし。それをやらないと、ゲームはどんどん慢性化してつまらなくなってしまう。その点、今回のぼくらは割と新しいことを発表できたなと思います。
——:E3の会場で特に気になったブースはありましたか。
中: やっぱり正直に言ってウチかな。本当に続編ばっかりなんだもん。でも実はぼく的に一番ヒットしたのは『グラディウス5』なんですけどね。
飯塚: 続編じゃないですか!
中: でもそれはマニアックなとこだしね(笑)。
飯塚: でも確かに、続編タイトルは眺めてるだけで、触ってみたいっていう衝動が生まれないんですよね。
——:触らなくても想像できてしまうということですか。
中:うん、ゲーム産業自体が利益重視のためとか、ユーザーが望むからという理由で、続編ばっかり作り続けてきてしまった。どんどんゲーム業界は変な方向に向かっていると思うんです。そんななかで、ぼくらはやっぱりオリジナリティを追求したい。みんながリアル路線に行くなかでファンタジーをやったりしたいんです。いまアメリカの状況を見ると、流行ってるゲームはFPS(一人称視点シューティング)ばっかりですよ。で、海外のメディアの人は「どうしてお前は FPSを作らないんだ?」って言われたりして。でも「それを俺が作ってどうするんだ」って思うんです。業界の人たちはみんな変な方向にいっちゃっているんですよ。確かにゲームっていうのは流行して消費されるものではあるんですよね。昔はシューティングばっかりだったし、一時期は格闘ゲームばっかりだったし、今はFPSばっかりだったりとか、いろいろありましたけど、ぼくらはあんまりそういうのをやりたくないんです。真似して似たようなものを作っててもつまんないしね。ぼくはクリエイターとして、流されなくてよかったです。子供も大人も楽しめる、ぼくらの好きなものを作り続けていきたいですね。

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飯塚 隆 氏

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メガドライブ版『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』から『ソニック』シリーズの開発に参加。以後、シリーズを通してゲームデザインとディレクションを担当する。現在はアメリカ SONIC TEAM USAで『ソニック ヒーローズ』に注力。

中 裕司 氏

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株式会社セガ常務執行役員兼ソニックチーム代表取締役社長。1984年セガに入社し、数々の人気タイトルを手がける。代表作は『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』『ナイツ』『ファンタシースターオンライン』など。カーマニアとしても知られ、現在の愛車はフェラーリ360Spider F1。


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